「お互いに利益を得る」
という意味で、政治の世界やビジネス社会では、
〈ウィンウィン〉
という言葉がよく使われています。
外交の言葉として用いられている、
〈発展的互恵関係〉
なんて言葉も、同趣の言葉かと思います。
国際社会では、相手も笑顔で握手しながら、〈ウィンウィン〉の関係やら英語でどのように訳すのかよくわからない〈発展的互恵関係〉を口にする外国の政府や企業は、自分たちの利益を優先することをいちばんに考えて、最終的に相手(日本)が損失を被っても文句が出なければ、知らぬふりをしているのではないかと思います。
財布を拾った左官職人が、中にあった三両の金を持ち主の大工に届けたところ、自分から離れていった金を受け取ることはできない、と返したが、これが裁判沙汰になり、奉行が、自分から一両出して、それぞれが一両ずつ損をする形で訴訟を収めたという噺です。
落語以外でも、大岡裁きとして知られているお話しですが、おそらく、この話を好むのは、日本人だけではないかと思います。
〈三方一両損〉の好きな日本人にとって、〈ウィンウィン〉を実践するのは、根本的に無理があるように思います。
むしろ、積極的に〈三方一両損〉を国際社会に示す方が、日本にとってはプラスになるのではないかと思います。
そんなことを思いながら、でも、何となくアタシだけ損しているようにいつも思ってしまのは、どうしてでしょうか……