流行語教養論

[アナと雪の女王]の映画とともに大ヒットした

「ありのままで〜」

を、知人が、

「ありのままで〜きりぎりすのぱぱで〜」

と歌うのを、側で聞いていた人が、

「ありのままで、きりぎりすのぱぱ?」

その疑問に、

「アリのママと、キリギリスのパパです」

と答えると、

「どうして、キリギリスなんですか?」

イソップ物語に、働き者のアリと怠け者のキリギリスが出てくるでしょ」

 

欧米の小説や映画には、聖書に出てくる言葉を下敷きにした表現がよくあるそうです。

それを日本語に翻訳しても、聖書に馴染みのない日本人にわからないのは当たり前ですが、欧米ではそうしたことを、[教養]の一つ、と考えているようです。

もし、古いものを下敷きにした表現を日常会話で使える人や、それを理解できる人が、[教養]のある人だと言うなら、カラオケで、

「ダメよダメダメ〜」

と、森進一さんの物まねで歌う私の後輩も、[教養]のある人物ということになります。

また、この

「ダメよダメダメ〜」

を、森進一さんの歌であると明らかに意識して流行させたとしたら、今年の流行語大賞を獲得した彼女たちも、当然、[教養]のある芸人だと言えます。

しかし、

「教養とは古典を下敷きにしたもので、昭和の流行歌を流行語にした表現なんて、ダメよダメダメ〜」

と主張する御仁がいらっしゃるかもしれん。そういう人について、

「なんでだろう、なんでだろう」

と、両手を交差させながら考え、

「もしかしてだけど〜、頭が固いだけなんじゃないの〜」

と結論づける私は、やはり[教養]とは無縁な人間でしょうか?

仮にそうだとしても、自分は「ありのままで〜」いいと思っております。