コミュニケーション裏返し

落語に《子ほめ》という噺があります。

子供をほめるときは、一つ二つ、年齢を上に言うと、その子供の親が喜ぶと教わった男が、生まれたばかりの赤ちゃんを前に、

「この子、おいくつ?」

「今、生まれたところじゃ」

「とは、お若う見える。どう見ても二つ三つ」

 

次は江戸時代の小噺です。

気の短い男に、その父親が、

「世の中、堪忍の二文字が大事じゃ」

「か、ん、に、ん……二文字ではなく、四文字ですよ」

「いや、だから、辛抱する……大事なのは、辛抱の二文字じゃ」

「し、ん、ぼ、う……やっぱり四文字」

「わからん奴じゃ。我慢じゃ。我慢の二文字じゃ!」

「が、ま、ん……それは三文字」

「しまいに怒るぞ!」

 

こんな話はどうでしょう。

相手の言葉を否定しないことがコミュニケーションの秘訣だと教わった男が、

「君のいいところは、謙虚なところだそうだね」

と言われて、

「そうなんですよ。私は謙虚な人間なんですよ」

 

もう一つ。

いつでもユーモアを忘れてはいけないと教わった男が、瀕死の人間の傍らについている人に、

「大丈夫ですか?」

「いや、もう虫の息です」

「リーンリーン」