ひもの人生

先日、関東地方の某県の出身者とお話をしておりましたところ、

「うちの県の女性は働き者だと、よく言われます」

と話されたので、

「では、今から結婚相手を探しにそこへ……」

と応じると、

「仕事を持っている女性に理解があるんですね」

「理解だなんてとんでもない。女房が働き者なら、ヒモになれますから」

これを傍で聞いていた人から、

「お前はそれでも男か!」

と一喝されましたが、『髪結いの亭主』は男の憧れではないかと思っているのは、やっぱり私だけでしょうか……

 

女性にしても、そんな男はごめん被りたいところかもしれませんが、

「家族のために働いているんだ」

「家族サービスもやっているじゃないか」

なんて、押し付けがましい男の身勝手な能書きを聞かなくてすみます。(ドラマの中だけのお話かもしれませんが……)

何より、男女平等の世の中ですから、反対に、

「誰のおかげで生活できてるのか、わかってるの?」

なんて、妻が夫に能書きを垂れてもいいのではないかと思います。(すでに垂れておられる方もいらっしゃるかもしれませんが……)

 

落語に《厩火事》という噺があります。

女房である自分を、ヒモの亭主がどう思っているのか試したところ、亭主は女房をやさしくいたわりました。

女房が感激したところで、

「お前に何かあったら、明日からおまんま(ご飯)が食えない」

という亭主のセリフが、オチになります。

 

そうなんです。

ひもの人生は、養ってくれている妻に何かあったら、たちまち干物になってしまう人生なんです……