どうして日本語では、
「えー……」
で話を始め、英語では、
「A(ア)ー……」
で話を始めるのでしょうか?
以前、電車の中で、欧米人らしい男性と、日本人らしい女性二人の、三人連れを見かけたことがありました。
日本人らしい女性のうちの一人は英語にも堪能らしく、英語で男性に話しかけるときには、
「Aー……」
と口にしてから言葉を発し、日本語で女性に話しかけるときには、
「えー……」
と言っていました。
日本人は、話し始めるときに、
「えー……」
と口にし、落語では、
「えーしばらくのあいだおつきあいを〜」
というのが、噺を始めるときの決まり文句になっています。
これに対して欧米人は、
「Aー……」
と口にしながら言葉を探します。
その点について、英語に堪能な知人に聞いてみたところ、はっきりとは分からないと言いながらも、
「人間が最も発しやすいのは、AとOの間ぐらいの音だから……」
という解説を加えてくれました。
ただ、落語をやっている欧米人は、噺を始めるときには、
「えーしばらくのあいだ……」
と口にしているのではないかと思います。なにしろ、
「Aーしばらくのあいだ……」
では、聞いている方が落ち着きません。
落語でオチつかないというのでは、シャレになりません。
ということは、欧米人に、
「Aー」
ではなく、
「えー」
と話し始めるようにしむけると、みんな、日本語で話し始めるのではないかと思います。その逆もまた然りで、
「えー」
ではなく、
「Aー」
で話し始めると、日本人は誰でも英語を自在に操れるようになって、
「Aー、ワタシハ〜、エイゴガ〜、トクイで〜す……」