人気の《ドン》!

ウルトラマンに、〈ガヴァドン〉という名前の怪獣が登場していました。

少年の落書きから生まれた怪獣で、特に暴れることもなく、ただ寝ているだけの怪獣でした。

 

1972年10月から翌年3月まで、フジテレビで〈ハゼドン〉というアニメーションが放映されていました。

現在のゆるキャラの元祖ともいうべきキャラクターで、以前、勤めていた職場に、ハゼドンというあだ名のスタッフがいらっしゃいましたが、顔つきだけでなく、その言動も仕事ぶりも、〈ハゼドン〉そのままといった感じの、ゆるキャラスタッフでした。(今も勤めていらっしゃるそうです)

 

落語で〈権助どん〉といえば、てったい(手伝い)の下男、時代劇で〈茂平どん〉といえば、田舎のお人、というイメージの名前になります。

 

また、台所仕事をする女性、あるいは台所仕事そのものを〈おさんどん〉と呼びます。

こちらは固有名詞ではありませんが、古くから存在する(今では死語に近いかもしれない)言葉です。

 

現代では、お酒の名前に、ドン!と〈どん〉とついていたり、〈どん〉の後ろに兵衛がついてロングセラー即席麺(この言葉も古いかもしれません……)の商品名になったりしていますが、語尾に《ドン》がついているわけではありません。

 

ウルトラ怪獣のガヴァドン〉〈子供アニメのハゼドン〉〈てったいの権助どん〉〈田舎の茂平どん〉〈台所のおさんどん〉

《ドン》が語尾につく言葉に、女性をときめかせるようなかっこよさはありません。

それが、バレンタインデー間近の今日この頃、デパートのチョコレート売り場の、

〈イケメンの壁ドン〉

が、女性の人気を呼んでいるそうです……