南米の国々を、いまだに(地球の裏側)と言うアナウンサーがいます。
それを口する自分がどれだけ自己中心的な人間かということに、気がついていないのか、それともそんな言葉遣いのいろはすら、アナウンサーに教えていない放送局に責任があるのか……
でも、表がよくて裏が悪いとは限りません。
世間から表家業とは見られない夜の仕事、仕事帰りのサラリーマンに声をかける客引きのお兄さんやお姉さんと立ち話をするようになると、
「いやがられることが多いのに、こうして話してくれることがうれしい」
顔なじみになると、向こうから挨拶をしてきますが、だからといって、
「キャバクラ、どうですか」
などという客引き言葉を投げかけてくることはありません。
むしろ、友人と道で出会ったときのような感覚です。
表があるから裏があるという発想が出来るなら、裏があるから表があるということも言えます。
日本の、自己中心的なアナウンサーが(地球の裏側)と呼ぶ国のアナウンサーも、もしかすると日本を(地球の裏側)と呼んでいるかもしれません。
相互に裏側と呼び合うとなると、どちらも表でない、ということになってしまいます。
でも、日本はそれでいいのかもしれません。
なにしろ、世界に向かって《おもてなし》を発信しているの国ですから……