時代劇で、悪家老に、
「どこそこの誰それが、御家老のことをこのように悪し様に申しておりました」
と忠臣づらして知らせる家来がいます。
すると、悪家老は、
「それは放ってはおけぬ。ただちに捕らえよ」
ということになります。
一方、改革を断行しようとする殿様に、
「かように非難する者がおりまする」
と、告げる忠臣もおりますが、賢明な殿様は、
「よいよい、言いたい者には言わせておくがよい」
と、取り上げません。
私の知り合いで、その業界ではそこそこ名の知れた方がいらっしゃいます。
その人に、インターネット上に悪口が書かれていることを、わざわざ教えてくれる人がいらっしゃるそうです。
時代劇のように、別に主従の関係を結んでいる訳でもないし、特に損得に関わる間柄でもないのに、どうしてそんなに親切なんでしょうか?
その点を考えると、それを知らせる人が、どんな心の持ち主か、見えてきます。
また、そんな人の言葉に乗せられるか否かで、自分の姿も見えてくるでしょう。
知人は、笑顔で、
「ありがとう」
と言って、取り合わないそうです。
世が世なら、名君になっておられるお方です。