吸血裁判

吸血鬼の吸血行為は、犯罪になるか、というご質問をいただきました。

採決をする場合、それが献血であれ健康診断の一環であれ、血を抜かれる本人は同意しています。

だとすると、吸血鬼が本人の同意を得て吸血する場合、法的な問題はないと考えられますが、問題は、そうではない場合です。

首筋に牙を付けただけで、多分、迷惑防止条例違反、いわゆるセクシャルハラスメントに問われる可能性があり、牙を突き立てた段階で、傷害罪が適用されるでしょう。

これが、あたかも恋愛感情を表現する行為に見せかけ、首筋に口づけをするかのごとく吸血行為に及ぶ場合には、また別の問題が発生するのではないかと思います。

ただし、吸血されたことによって永遠の命が手に入る訳ですから、不老長寿を願う人には、問題はないように思われます。

「これで君は永遠の命を手に入れたんだよ」

「あら、うれしいわ」

しかしそれで納得していると、昼夜逆転した生活になってしまい、その結果、お肌が荒れてくるようになります。

トマトジュースか、時折、生の血液を飲むだけの食生活になりますから、栄養のバランスもよくありません。そのうちに顔が青白くなり、鏡を見ると、肌荒ればかりか、小じわも増え、明らかに老化が見られるようになります。

「だんだん若さが失われていくわ」

「永遠の命が手に入ったんだから、いいじゃないか」

「おばあさんになっても死ねないぐらいなら、美しいまま死にたかったわ。いったいどしうしてくれるのよ」

と裁判所に訴えます。

しかし、こういった問題は、簡単に解決しません。

吸血鬼だけに、血みどろになります。