幸福自慢の不幸

「なに、たいしたことはありませんよ。うちは業界トップの会社ですから……」

と会社を自慢するサラリーマン。

「去年、長男は医者になって、次男は、先日、司法試験に合格しましたのよ」

と息子を自慢する母親。

「唯一の自慢は、炊事洗濯家事一般、一切やったことがないということだな、ははははは……」

と自慢する亭主。

「服や身に着けている装飾品を合わせると、軽く百万円を超えますのよ、おほほほほ……」

と自慢する中年女性。

「私にはもったいないぐらいの、ほんとによくできた妻でね」

と妻を自慢する夫。

 

何を自慢するかで、その人の幸福度がわかるような気がします。

同時に、周囲にいらっしゃるの方の幸福度が、それに反比例しているかどうかも想像できるのではないかと……

 

でも、幸福度の最も高い人は、そうした人たちの自慢話を、うらやましく思うそぶりを見せることなく、笑顔で時折うなずきながら聞いている人かもしれません。