写楽と北斎のコミュニケーション

「日本を代表する浮世絵師と言えば、やはり東洲斎写楽と葛飾北斎でしょう」

これに対して、

「へえ、そうなんですか」

「ああ、やっぱり、そうですよね」

「そんなの常識だろ」

「じゃあ、日本の他に、その国を代表する浮世絵師って、誰? たとえば、アメリカを代表する浮世絵師って、誰?」

円滑なコミュニケーションのためにもっとも適しているのは、どれでしょうか。

 

東洲斎写楽さんは、アンバランスな役者絵で人気を博した浮世絵師ですが、その正体は不明です。突然、登場して短期間で姿を消した謎の浮き世絵師です。でも、注目されるまでにもそれなりの修行を積み、腕を磨いていたはずです。そんな写楽さんが爆発的な人気を博したのは、意外性のある独特の役者絵が人々の心をつかんだからでしょう。

葛飾北斎さんも、若いときから腕のいい絵師だったことは、そのころに描かれた美人画などを見ればわかります。ただ、誰もが描いていたような美人画を描いていただけなら、これほど名を知られることはなかったかもしれません。

 

円滑なコミュニケーションを図るためには、

「へえ、そうなんですか」

「ああ、やっぱり、そうですよね」

というのがいいかもしれませんが、芸術家には、

「じゃあ、日本の他に、その国を代表する浮世絵師って、誰? たとえば、アメリカを代表する浮世絵師って、誰?」

と、突っ込む視点、発想が必要なのではないかと思います。

というのはいかがでしょうか?

 

え? そんなの常識だろ……って……