我ら納涼一族

梅雨が明けると、いよいよ夏も本番でございます。

エアコンや扇風機のなかった昔から、暑さを凌ぐ工夫の一つとして、怪談が語られておりました。

深夜、何人か集まって代わる代わる怪談を語る百物語を代表に、小説や講談、落語にも怪談ネタがございます。

大小のロウソクを高座に据え、鉦や太鼓を用いた音響効果を駆使しながら、話も佳境になりますと、白装束の弟子、一門一族を会場のあちこちに登場させて、うら若き女性客に、

「きゃー!」

てな悲鳴を上げさせて講釈師一門、あるいは噺家一族が楽しむような趣向を凝らした納涼講談会、落語会も、夏だからこそ開催されるのでございます。

納涼と銘は打っても、冷房の効いた名だたるホールで数百人を集めて開催される有名な噺家の会では、やはりその醍醐味を味わうことはできません。

 

殊に省エネが叫ばれる昨今でございます。

昔ながらのこうした怪談は、時代の要請に応えるものだということも、言えるのでございます。

 

もちろん、我々が発する寒いオヤジギャグも、怪談に劣らぬ貢献を果たすものでございまして……

(我々って誰じゃ! と心の中でツッコミを入れたあなた様こそが、社会に貢献する我々の仲間……いえ、一族でございます……)