あばばばば

夜、とあるお寺の坊さんが、久しぶりに訪ねてきた幼なじみの猟師が土産に持参した猪の肉で一杯酌み交わしているところへ、ばあ様が亡くなったのですぐにお経を上げてほしいと、檀家の娘、おさよがやってきました。

「いくら急に亡くなったとはいえ、今夜すぐにというわけには……」

と渋る坊主に、

「死んだばあ様は実は〈あばばばば〉で、なるべく早く焼いてしまわないと、生き返って人の生き血を吸います」

という不思議な話に、とにかく腰を上げて猟師の幼なじみとお経を唱えに行きますが、お経をあげて弔問に訪れた人々に説教をしているあいだに生き返ったばあ様に、

「あばばばば〜!」

と噛み付かれて、血を吸われます。

ところが、ばあ様はすぐに、ペッペッと吐き出します。

おさよが、

「ばあ様、どうされました?」

と尋ねると、

「この坊主、かなり生臭い」

 

てな落語を、昔、作って高座にかけたこともございましたが、どなたも怖がっては下さいませんでした。

日頃から性懲りも無く繰り出すオヤジギャグの方が、省エネになっていました。