コマーシャルには、二つの技法があるようです。
「これを使うとこんなに便利で心地よくなりますよ〜!」
「このままだと最悪の事態になりますよ〜! でも、これを使えば大丈夫ですよ〜!」
この手法の一方が使われたのが、大阪都構想の賛否を問う住民投票で、反対派が使っていました。
「二度と後戻りはできません!」
これは、
「大阪都になって後悔しても、以前の大阪には戻れませんよ〜! でも、反対すると後悔することはありませんよ〜!」
ということでした。
「緊縮策は生活を圧迫しますよ〜! でも、反対すると生活が圧迫されることはありませんよ〜!」
その結果が報じられたときに、
「ギリシャ国民はキリギリスの生活を選んだのか……」
と、某大学の先生がおっしゃていました。
「将来のために一生懸命勉強しても、老後のために骨身を惜しまず働いても、幸せになるとは限りませんよ〜! でも、今、遊んでおくと、将来、不幸になったときでも、昔はよかったって、幸せな気分になれますよ〜!」
てな、キリギリスの囁きは、とっても甘美です。
アリのように努力を怠らない方の耳元で、こんなことをキリギリスのように囁く私を、大阪市やギリシャで雇ってくれないでしょうか……
まぁ、それで雇ってもらえるぐらいなら、今頃、キリギリスのように生きてはいません……
「でも、後戻りできませんよ〜!」