江戸落語の『鰍沢』『死神』は、三題噺から生まれた噺でございます。
三題噺とは、落語会の冒頭でお客様から、まったく関連のなさそうな三つのお題、言葉をいただきまして、それらを織り込んで創作いたしまします落語でございます。
たとえば『鰍沢』では、〈鉄砲〉〈毒消しの護符〉〈たまご酒〉の三つが、お題になりました。
もちろん、その落語会の最後に披露しなければなりませんので、演者にはかなりのプレッシャーがかかりますが、観客にはスリリングな落語を楽しんでいただけます。
昔、『落語のゴ』(ABCテレビ)で、桂ざこばさんと笑福亭鶴瓶さんのお二人がやっていらっしゃいましたので、御存知の方もいらっしゃるかと存じます。
昨日、大阪千林の《伝楽亭》に参りまして、『青菜』『骨つり』『一人酒盛り』ほか、数席を楽しんだ後、打ち上げに参加いたしまして、
「じゃあ、二次会はカラオケ!」
てな調子で場所を変えてから、
「三題噺なんか、よろしいな〜」
「ほんに、ほんに、あれは面白うございます」
「でしょ? でしょ? 三題噺、どうですか?」
「何でございますか?」
「いや、その、三題噺を……」
「え? ……アタシが……、三題噺?」
「そうです。そうです」
「いや、それは……アアタ(ファンファンファン〜)毎日毎日、ボクらは鉄板の〜」
歌い終えると、
「いや〜、うまい! さすが! よっ、大統領! (拍手)……ほな、三題噺、10月18日、日曜日ということで……」
東近江笑いの会の近江家八景さんとアタシと、二人で三題噺の会を伝楽亭でやることになってしまいました……
もう何年も落語を演じておりませんのに……