早速、お題をいただきました。
〈パンダ〉〈たこ焼き〉〈吸血鬼〉
着ぐるみの頭の部分を外しながら、
清「いやあ、それにしても人使いの荒い会社やな。いくらパンダの着ぐるみを着てお客さんに愛 想、振りまくだけや言うても、やっぱり休憩なしはきついな〜」
喜「まあ、そうは言うても、けっこうおもろかったで」
清「何がおもろいねん」
喜「そやかて、みな、喜んで寄って来るで」
清「そら、パンダは人気者やさかい、子供ら寄ってくるわ」
喜「寄ってくるだけやないで。小さい子供なんか、いろんなもんくれるで」
清「くれるけど、着ぐるみのこんな手ぇで、もらわれへんやろ」
喜「わい、さっき、たこ焼き、もろた。これ、食べて、言うて」
清「そやから、食べられへんやろ」
喜「うまかったで」
清「食うたんか!」
喜「そしたら、横からその子の兄貴らしい子供が、『あ、パンダがたこ焼き食うてる。こら、ニ セもんや』言うさかいに、『何言うてんねん。わいはこてこての大阪生まれのパンダや〜』言う たったら、『ほな和歌山のパンダはなんでササ、食べるんや』と聞くさかいに、『あら、中国か ら来たニセもんや』と言うたった」
清「お前、そんなええかげんなこと、子供に言うたらあかんやろ」
喜「そやから、ちゃ〜んと言うたで。よそで言うたらあかんでって」
清「あほ」
喜「いや、大人にはそんなこと言わへんで」
清「お前、何したんや」
喜「いや、若い女の人なんかも、きゃ〜てなこと言いながら両手広げて駆け寄ってくるさかいに、わいも両手広げて、ぎゅうって抱きしめて、ほんで、首筋にぶっちゅう!って、やったった」
清「お前、パンダのくせに、吸血鬼みたいなこと、すな」
喜「はははー、久しぶりに女、抱いた」
清「あほ」
男「ああ、今日はお疲れさんやったな。今日のバイト代、渡しとこか」
清「ああ、すんまへんな(もらって袋の中を確認して)……ちょっと待って。これ、だいぶん少 ないで。最初の約束と違うで」
男「まあ、税金やらなんやら引いてるさかいな」
清「税金って、それでも、これはあんまりやろ。だいぶ、ピンハネしてるやろ」
男「なんや、気にいらんかったら、辞めてもうてもええねんで。バイトの代わりなん て、いく らでもいてるさかいな」
清「えー、こらひどいこと抜かしやがるな。おい、会社ぐるみであこぎなことをしてるんちゃう か」
喜「え? 会社ぐるみ? 清やん、わいら着ぐるみやで」《パターンA》
(デンデン)
清「えー、こらひどい会社やな。ブラックちゃうか」
喜「清やん」
清「なんや」
喜「ブラックちゃうで」
清「ブラックやない? はたらなんや?」
喜「白黒や」《パターンB》
(デンデン)