三題噺・テレビに出演する方法

お題をいただきました。

『クイズ』『クリック』『誤字脱字』

(さっきのブログのネタやないか!……というお叱りもあるかと思いますが……)

 

喜「こんにちは」

甚「おお、(新聞をがさがさと片付けながら)喜ィさんか。まあ、こっち上がり」

喜「甚平さん、気ィの悪いことしなはんなや」

甚「え? わしが何したて」

喜「今、あんた、なんぞ食うてたやろ」

甚「なんにも食べてへんで」

喜「いや、今、がさがさっと、食うてた弁当、紙に包んで隠しなはった」

甚「ああ、これか。(出しながら)これ、お前、弁当やない。新聞や」

喜「新聞? 新聞てなもん、甚平さん、読みなはんのか」

甚「そら、いろいろ書いたあるさかいな」

喜「へえ、まさか、阿弥陀池に強盗が入ったとか、西の辻の米屋に盗人が入ったとか、そんな話やおもへんやろな」

甚「そんな落語みたいな話やないで」

喜「ほな、何が書いてまんねん」

甚「そうやな…… うらない」

喜「なんでっか、わたいみたいなアホには、売ってくれまへんのか」

甚「違う違う。占いっちゅうのは、干支占いとか星占いとか、そういうやっちゃ」

喜「へえ、新聞に八卦が出てまんねんな。当たりまんのか」

甚「まあ、当たるも八卦、当たらぬも八卦じゃ」

喜「なんや、ええかげんなもんでんな。他に、何が書いてありますか」

甚「人生相談やな」

喜「人生相談って、わいみたいな、アホ、どないかなりまへんかっちゅう、相談でっか」

甚「まあ、お前のアホはなんぼ相談してもどうにもならん」

喜「ほな、その他の相談やったら、うまいこと当たりますか」

甚「さあ、それもわからん。当たるも八卦当たらぬも八卦

喜「なんや、占いと同じでんな。……他には何が書いてありますか」

甚「クイズもあるな」

喜「クイズですか。当たりますか」

甚「さあ、それも……」

喜「当たるも八卦当たらぬも八卦

甚「いやいや、クイズはものをよう知ってるかどうかや」

喜「ははあ、甚平さんみたいな、生き地獄でないとあきまへんねやな」

甚「そやから、生き地獄やない、言うてるやろ。それも言うなら、生き字引や」

喜「そうでしたそうでした。生き地獄生き地獄」

甚「そやから、地獄やない、言うてるやろ。ほんまに今時には珍しい、落語みたいな人じゃ」

喜「いやあ、そないにほめられると照れるな」

甚「誰もほめてへんで」

喜「けど、甚平はんほどの物知りは、世間にはそういてまへんな」

甚「いやいや、わしなんかより、テレビのクイズ番組に出てる人は、もっと物知りや」喜「へえ、ほな、わいもテレビのクイズ番組に出たら物知りになれますか」

甚「クイズ番組に出る言うても、簡単やないで」

喜「どないしたらよろし」

甚「まず、申し込まなあかん」

喜「テレビ局に行って、申し込み用紙をもうてきて、ほんで代書屋に書いてもらう」

甚「今時、そんな落語みたいなことで申し込みはでけへん。今は、パソコンの時代や」

喜「パソコンいうたら、あの……あのパソコンですか」

甚「他にどんなパソコンがあんねん。そのパソコンをクリックして、クイズ番組のホームページを開いて、申し込みフォームに必要事項を書いて送信したらええねん」

喜「やっぱり、代書屋に頼みます」

甚「まあ、難しかったら、代書屋でのうても、誰ぞに頼んでもええやろ。それでも、申し込みフォームを送信するときには、自分で確かめなあかんで。誤字脱字なんかもないようにせなあかんからな」

喜「え? 五時に脱腸ですか? そらつらい」

甚「どないしたら、そないに落語みたいに聞き間違えられんや。五時に脱腸やない。字が間違うてたり字が抜けてたりせんようにすることや」

喜「字ィ、間違うたら、どないなります」

甚「まあ、即、失格やな」

喜「やっぱりわいのようなアホは、クイズ番組には出られまへんねやな」

甚「まあ、けど、がっかりすることはない」

喜「なんでですか」

甚「喜ィさんやったら、落語番組に出られるさかい」

                                   デンデン