教育的マクラ投げ

修学旅行のお約束、マクラ投げがスポーツ化しているそうです。

8人1組を1チームとして、マクラを投げ合い、どちらが先に相手の大将に当てるかという、勝敗のルールまで決まっているそうです。

 

そうなりますと、修学旅行で、夜、生徒がマクラ投げに興じているところを先生が注意しても、マクラ投げ競技の練習をしていると言い逃れりことができます。

それどころか、そのうち体育の授業の一つとしてマクラ投げが実施されるかもしれません。

 

ところで、このマクラ投げというのは、修学旅行が文化になっている日本独特のもののように見えて、実はアメリカでもマクラ投げをやっているようですので、柔道のように世界に広まれば、やがてオリンピック競技になるかもしれません。

そうなると、夜中、先生の目を盗んでマクラを投げ合っていたスリルと楽しさを味わう遊びから、ただ、金メダルを目指すだけの、スポーツに堕してしまいます。

 

たとえ、ルールの明確なスポーツと化しても、選手以外で覗きに来ては、

「こらあ! 早く寝ろ!」

と怒鳴り声を上げる、中立的な先生が登場し、その瞬間は両チーム、すべての動作を中断して寝たふりをしなければならない……なんて決まりも入れて、もし、それに3秒以内に従わなければ、減点、あるいは相手チームに1点を与える、3秒ルールてなことも面白いのではないかと思います。

 

もちろん、再び試合を始めるためには、先生の姿が完全に見えなくならなければなりません。

焦って先生がまだ立ち去っていないのに動いたら、やっぱり、

「こらあ!」

と怒鳴られて減点、あるいは相手チームに1点…… 3秒ルールも含めて、反則はすべて、教育的指導になるかと思います。

 

当然、薄目を開けているところを見つかっても、教育的指導がなされます。

 

そうそう、もう一つ大切なことを忘れていました。

教育的指導を行う場合、少々酒臭くなければなりません。

 

でも、それではさすがにオリンピックは無理ですね。

教育的指導を行う者が教育的指導をされてしまいますから……