美術館「えき」KYOTOで、『ユトリロとヴァラドンー母と子の物語ー』が開催されています。
母親が絵描きで息子も画家という二人の作品の展覧会は、あちこちを回って開かれているようで、広島に通っているときにも、その広告を見かけました。
「そのうち、関西でも展覧会が開かれるだろうな……」
と期待していましたので、今日は、ちょいと足を運んでみます。
吉本ばななさんの小説『バブーシュカ』には、お母さんを亡くして哀しむ、主人公と同居している男性が登場します。
主人公は、そのお母さんとも仲がよかったのですが、男性とお母さんの母子の深いつながりがあることもよく知っていました。
そのお母さんを失った男性に、どう接していいのかわからなかった主人公が、ある日、風邪をひいて声を失い、それによって主人公の存在が彼の哀しみを癒し、二人が新たに寄り添える間柄になるという物語です。
このお母さんも絵描きでしたが、世間の母親とはかなり違う生き方をされているようです。
その、『バブーシュカ』に登場する母と子の関係が、ユトリロ、ヴァラドン母子と通じているのではないかと、美術展のポスターを見て、ふと、思いました。
十年前に亡くなった母が、小学生だった私を最初に連れて行ってくれたのが、この『ユトリロとヴァラドン展』だったと思います。
一応、母も油絵を描いていましたし、世間の母親とは多少違っていたと思います。
まあ、だからといって、私がユトリロみたいだとか、『バブーシュカ』に登場する物静かな男性みたいだとかということはありません。