週刊少年ジャンプ(集英社)に連載されている、尾田栄一郎さん原作の『ワンピース』の、おそらく、現状、最長シリーズといえる〈ドレスローザ編〉が終了したようです。
秀でた海賊の頭目たちばかりか、盲目の海軍大将藤虎の心さえ動かす主人公、ルフィの魅力は、
《どんなに困難な状況にあっても前進する》
というところにあるかと思いますが、ただ、それだけなら、ルフィの前に現れる敵の多くも、みんなそうです。
他に、
《仲間を大切に思う》
という点も、今回の大敵ドフラミンゴなんかは同じように見えますが、彼は裏切り者を決して許しません。
それは、ドフラミンゴに限りません。
ルフィのもっとも大きな魅力は、
《裏切り者を許すか許さないか》
という点ではなく、
《裏切り者が出るか出ないか》
というところにあるのではないかと思います。
この違いはどこから来るのでしょうか?
《どんな約束でも必ず果たす》
《どんな相手であっても正々堂々と戦う》
《どんな相手でもその本当の気持を大切にする》
おそらく、そうしたことを作為なく、あるいは作意なくできるところに、その魅力の根っ子があるのではないかと思います。
その根っ子には、誰かに裏切られるかもしれないという発想が、まったくありません。
でも、そこんところが難しいんですよね。
一度でも誰かに裏切られた経験なんかがあると……
例の友人は、そんなアタシを決して裏切ることなく、
「キミの場合、そうやってわかったような理屈はこねるけど、実践が伴わないところが問題だ」
と言ってくれます。
もちろん、アタシの身に何かあっても、裏切ることなく、アタシを見捨てて一目散に逃げるでしょう。