秋桜

「これで、いいかどうか、ちょっと見てほしい」

そう、声をかけられて、このシルバーウィークに娘さんが結婚式を挙げられた女性が、その娘さんに送る手紙を見せてくださいました。

 

手紙には、娘さんへの祝福の言葉と、夫となる男性、そして義理のお母様に、娘を託す母親の心情のこもったメッセージが記されていました。

 

数日前に、式にも出られたにもかかわらず、改めてお手紙をしたためられたということは、義理のお母様との同居とすることになった娘さんを、それだけ思いやっていらっしゃるからでしょう。

 

「とてもいい文面だと思います」

と、正直に答えると、嫁ぐ娘を気遣うその女性は、少しほっとされたのか、笑顔で、

「主賓が、新郎の勤める会社の社長さんで、会社の宣伝やら何やらで、まあ、30分。しゃべるしゃべる…… それで乾杯どころか食事もできず……」

披露宴でのそんなエピソードを話してくださいましたので、

「周囲が見えずにそんなに話の長い社長がやってる会社って、どうなんでしょうね」

と応じますと、

「新郎は、その会社の一つのセクションのNo.2だそうですよ……」

よせばいいのに、そこでつい、

「そのお手紙の裏に、『いつでも帰っておいで』って、こっそり書いておいてもいいかもしれませんよ」

 

帰りにカラオケに寄って、山口百恵さんの『秋桜』(作詞作曲・さだまさしさん CBSソニー)を歌ってしまいました。