確かに、喜多川歌麿師の『歌満くら』を初めて見たときには、それまで見てきた浮世絵とは違う衝撃を受けました。
確かに、葛飾北斎師の『蛸と海女』には、魅入られてしまうような妖艶なインパクトがあります。
確かに、そうした日本の浮世絵、肉筆画に描かれた『春画』に対する欧米の評価は高いかもしれません。
でも、春画を芸術作品として公開してもよいのでしょうか?
東京の永青文庫で、日本で初めてとなる《春画展》は、いわゆる18禁だそうです。
そこらのアダルトビデオや、自治体の条例で青少年の目に触れないように閉じられた雑誌と同じ扱いです。
その昔、日活ロマンポルノを撮っていた監督は、芸術作品を制作しているつもりで撮っているという話を耳にしたことがありますが、そんな評価を受けたということは、寡聞にして聞いたことがありませんでした。
また、海外での評価が高いからという理由もつけて、日本では秘めるべきこととされ、芸術とは見なされていなかった部分に光を当てるのは、欧米人が認めるからこれまで日本では評価されなかった何々は素晴らしいのだぁ〜、という発想と同じではないかと思います。
『春画』を、ゲイジツ作品なんかにしてはいけません。
たとえば、今まで、『春画』をただのいやらしい絵として見下していた人々が、
「いやあ、『春画』は素晴らしい」
と、手のひらを返すように宗旨替えをする。
たとえば、印象派展を見てはそれをあちこちに報告して回る人たちのように、
「話題になってる『春画展』を見てきた!」
『春画展』なる催しは、『春画』を、そんなレベルに貶めることになるのではないかと、危惧しています。
『春画』と、は密かに愛でるべきもので、公開されるべきもではありません!
てなことを、例の友人に話してみようかと思いますが、たぶん、
「密かに愛でるべきだと言いながら、朝もはよから、ブログで公開してるキミの話を、いったいどこの外国人が評価してくれるのかな……」
なんて言われるんでしょうね……