アタクシ、ときどき、信号さんに断ってから、交差点を渡っております。
「ええ、一応、信号さんの『止まれ!』という御忠告は承りますが、自動車の姿もありませんところから、どうやらここで渡っても危険ではないと、アタクシ、独自に判断いたしますので、失礼して向こう側に渡ります」
世間様で言うところの信号無視とはまったく違うつもりではありますが、止まれと命じておられる信号さんにそんなお断りしているうちに自動車が参りましてそれにぶつかりでもいたしましたら、やはり、信号無視と断じられることになりますことには違いありません。
そこんところを分けて考えてもらって、もし事故になったら、信号さんにも多少の責任を負ってもらいたいと、まあ、個人的には、そんな勝手なことを考えております。
まあ、無視されたからと言って、信号さんが怒ったり哀しんだりされることはないと思いますが、発達する情報機器によって、現代は誰かを無視する風潮が強くなっているのではないかと、アタクシ、なんとなく思っております。
送られてきたメールに、何分以内に返信しなければいけないなんていうことは、近頃、耳にすることはなくなりましたが、ラインたらいうのには、
「相手は既に読みましたよ〜ん」
てなマークが発信者に送られるようで、にもかかわらず返信しないと、
「無視するな!」
なんてややこしいことに発展するそうで、
「そんなマークが相手に表示されない方法があるよ〜ん」
というコマーシャルまで見かけるということは、それだけ無視することについて、とっても敏感な社会に、もしくは、不寛容な世の中になっいるのかと、つい考えてしまいます。
仕事で、
「たぶん、だめだろうな」
と思いつつも、それでも必ず返事を差し上げますという言葉に若干の期待を寄せていたのに、結局はなしのつぶてという企業や団体に、残念ながら、今年はどういうわけか遭遇しています。
また、お問い合わせメールを送ると、自動返信が返ってきて、改めて担当からお返事をいたします……というシステムになっているのに、いっこうにに返信をくれない企業や団体がときどきありますが、それならそんな機械任せの返事を自動的に送らずに、
「堂々と無視しろよ〜!」
と言いたくなります。
通信機器の発達で世の中がそうなっているだけですから、誰のせいでもありません。
なにより、信号さんのことを思えば、それくらい、どうということはありません。
信号さんのことを思えば、どうということはありません……
信号さんのことを思えば……
信号さ〜ん!
ごめんなさ〜い!