三題噺・護身術

いただいておりましたお題でございます。

 

『月極』『磔(はりつけ)』『コピペ』

 

喜・清やん。ちょっと相談があるんやけどな。

清・何や。金ならないで。

喜・今日は、そんなお約束のくすぐりはいらんで。

清・ほな、何や。

喜・妹の花子が、年頃になったやろ。

清・ああ、そう言われたらそうやな。年頃なんて、縁はなそうやけどな。

喜・いや、縁がなさそうやて、そらどいう意味や。

清・一生、年頃のままや、いうことや。

喜・何や、それは。

清・ほんで、その、妹の花子がどないしたんや。

喜・いいやいな。年頃になったさかい、護身術を教えてほしいと、こない言うねん。

清・護身術って、あの花子にかぎって、絶対にそんな心配いらんで。

喜・そやから、それ、どういう意味やねん。

清・まあまあ、一生、年頃で大丈夫やいうことや。

喜・まあ、大丈夫やったらええんやけど、どないしたらええ?

清・いや、どないしたらええって、教えたったらええやろ。

喜・教えたらええって、わい、そんなもん知らんさかいに、清やんに相談してんねないか。なんぞ、手軽にできる護身術があったら、教えてくれ。

清・何や。そんなことかいな。それやったら、突きで決めたらええだけやないか。

喜・つきできめる? どないすんねん。

清・空手の突きや。(ポーズを取りながら)えい! と、こないして突きで決める。これを、つきぎめ、というんや。

喜・つきぎめ? そらまあ、空手、やってたらええやろけど、わいら、空手なんかやったことないし、そんなことして、手ぇ、けがしたら大変や。他にないか? 手ぇ、けがせえへん護身術。

清・ほな、針で突く、いうのはどうや。

喜・針で突く?。

清・そうや。一応、花子もおなごやったら、裁縫道具ぐらい、持ってるやろ。

喜・まあ、持ってるやろ。

清・その針を持って、相手のこの、盆の窪を突くんや。

喜・針で突く?

清・そうや、針で突け。略して、はりつけや。

喜・その盆の窪てなところ、どないして突くねん。

清・(必殺仕事人の音楽)ちゃかちゃかちゃんちゃんちゃ〜ん。ひゅん、ずぶ。……ああ、花子やさかい、ブス、か。

喜・あのな、そら、飾り職人の秀やからできるんや。それに、一応、あれでもわいの妹や。ブスは止めてくれブスは。

清・ほな、(カメハメ波のポーズで)こう構えて、(大声で)ぴぺぇ〜! と叫ぶっちゅうのはどうや。

喜 それ、ぴぺ〜やなくて、カメハメ波やないんか。

清・こっちが本家や。これを、秘技、コピペという。

喜・ほんまかいな。

清・うそやない。ほんまや。

喜・清やん。

清・何や。

喜・さいぜんから、つきぎめや、はりつけや、みんな口からでまかせで言うてるやろ。

清・そやから、ほんまや言うてるやろ。

喜・それやったら、どこでそんな護身術を仕入れ来たんや。

清・月極で買うてる月刊誌にはりつけてあった護身術の特集記事を、コピペしたんや。

                                  デンデン