ボランティアの秋

ボランティアがすべて善かというと、そうではありません。

迷惑なボランティア活動もあります。

 

母の日や敬老の日が訪れると、にわかに親孝行を演じたりお年寄りが喜ぶイベントに加わったりする輩と同じように、芸術の秋の名の下に著名な美術展に足を運ぶ人が増えます。

それでも、人気の美術展を避ければ静かに鑑賞できるだろうと思って、穴場を狙いましたが、残念ながら、そこでうるさいおばさん三人組に遭遇してしまいました。

そのうちの一人が〝解説〟の腕章をつけていましたので、会場内の係員に尋ねましたところ、これが、ボランティアの解説者だとうことでした。

 

どういう経緯でそこにボランティアの解説者がいるのかはわかりませんが、美術に詳しいはずのそのボランティアやその人物をボランティアとして一部の鑑賞者に解説させている美術館が、その行為によって他の鑑賞者の妨げになることに気がつかないとは、なんともお粗末な話ではないかと思います。

 

無償で誰かの役に立つボランティア活動のすべてを否定するつもりは毛頭ありません。

 

ただ、誰かに喜んでもらいたいという意識が先に立つボランティア活動に自分が満足感なり充実感なりを抱いているとしたなら、一度、振り返った方がいいかもしれません。

「誰かに喜んでもらってはいるけれど、誰かの迷惑になっているのではないか……」

 

例の友人に、

「キミの場合は……」

と言われるまでもなく、また、

(そういうオマエは……)

とツッコミを入れられるまでもなく、誰かに迷惑をかけることばかりやってしまっちゃってるアタシが言うことではないということは、よくわかっておりますが……