《フェルメールとレンブラント》有名無名の基準と功罪

京都市美術館で開催されている《フェルメールレンブラント》を見にいきました。

昔、レンブラントさんの光を巧みに描写した絵画に感嘆したことがありましたので、再びそうした絵を目にしたいと思っていましたが、実際には、フェルメールさんやレンブラントさんと同時代に活躍した画家たちの絵が展覧会場のほとんどを占めていました。

「《フェルメールレンブラント》とは名ばかりで、実際は中世のオランダ絵画展ではないのか……」

とは思いましたが、それでも、展覧会の看板とされた二人に優るとも劣らない作品が並んでおりましたから、それなりに見応えのある絵画展ではありました。

とはいえ、これは詐欺のようなタイトルではないかと思いながら、

フェルメールレンブラント

と、入場券に大きく記された文字の下を改めてよく見ると、

〈17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち〉

というサブタイトルがありました。

 

フェルメールさんやレンブラントさんの名前を出すまでもなく、一流の絵画展だと思いますが、日本で知名度の高いお二人の名前を出さないと、お客が集まらないということなのでしょう。

ただ、有名な画家の絵が見られるということで訪れる客が、館内でしゃべっているのではないかと思いました。

何人も、

「写真みたい……」

と、同じことを言いながら、まさに写真を見るような感覚で立ち止まることなく、館内を巡っていました。

 

メデイアの露出度はあまり高くありませんが、実力のある噺家の落語を聴きにいこうとお誘いいたしますと、

「有名な落語家が来るなら見にいっても……」

という方が実際にいらっしゃいます。

 

京都市美術館を出てその辺をぶらぶらと歩いておりましたら、向こうからやってきた4人組のおばちゃんとすれ違いました。

そのとき、先頭を歩いておりましたおばちゃんが、

「ここ、有名なお店よ」

と、うれしそうに指差した店舗を、後ろに続いておりました3人が、

「へえ」

「そうなん」

「知らんかったわ」

ということは、4人のうち3人が知らない有名な店だということになります。

それって、ホントに有名なお店なんでしょうか……