お題をいただきました。
『子供』『闇鍋』『妖怪ウオッチ』
清・おお、喜公、用意はええか。
喜・ええで、鍋もグツグツいうてるさかい、そろそろ持ってきたもん、入れよか。
寅・おとう。
清・お! 何や、寅、まだ起きてたんか。
寅・うん。
清・子供ははよ、寝え。
寅・そんなわけにはいかん。これからお楽しみやろ。
清・お楽しみやいうても、子供にはおもろいこともなんともないことや。
寅・いや、おもろいで、闇鍋。
清・お前、闇鍋、知ってんのか?
寅・キンちゃんやケンちゃんなんかと、ちょいちょいやってる。
清・ほんまか。
寅・こないだ、鍋にハンバーガーと羊羹とアイスクリーム、入れたった。
清・ははははは…… やっぱり子供やな。
寅・バカにしたらあかんで、そこにフグのキモ、入れたんや。
清・お前、そんな無茶しな。誰がそんなもん入れたんや。
寅・わいが入れたった。これがホンマの肝試しや言うてな、ははははは……
清・お前、子供のくせに闇鍋でしゃれかましてんのか。
寅・しゃれやない。それでキンちゃん、死にかけた。
清・あれ、お前やったんか!
寅・もうすんだことや。はよ始めよ、大人の闇鍋。
清・あのな、寅……
喜・清やん。もう鍋も沸いてるさかい、はよ、入れよ。明かり、消すで。
清・わー、いきなり消すな。真っ暗や。
喜・とにかく、持ってきたもん、皆、入れよ。……ちゃぽん、ちゃぽん……
寅・わいも入れよ。……ちゃぽん……
清・しゃあないな。ほなわしも入れるで。……ちゃぽん……
喜・なあ、清やん。
清・何や。
喜・ここに置いてた、わいの妖怪ウオッチ、知らんか?
清・え? 知らんで。
寅・おっちゃん。
喜・何や。
寅・それ、わいが今、鍋に入れた。
喜・何をしてくれるるんや! ちょっっと、清やん!
清・何や、用かい……(鍋の中に手を入れて)うおっち!
寅・おとう。
清・何や。
寅・それでこの噺のオチにしようなんて思うてへんやろな。
清・当たり前や。いくら闇鍋に落とした言うても、そんなオチではすくわれへん。
デンデン