三題噺・子供闇鍋(そのまんまや〜)

お題をいただきました。

『子供』『闇鍋』『妖怪ウオッチ』

 

清・おお、喜公、用意はええか。

喜・ええで、鍋もグツグツいうてるさかい、そろそろ持ってきたもん、入れよか。

寅・おとう。

清・お! 何や、寅、まだ起きてたんか。

寅・うん。

清・子供ははよ、寝え。

寅・そんなわけにはいかん。これからお楽しみやろ。

清・お楽しみやいうても、子供にはおもろいこともなんともないことや。

寅・いや、おもろいで、闇鍋。

清・お前、闇鍋、知ってんのか?

寅・キンちゃんやケンちゃんなんかと、ちょいちょいやってる。

清・ほんまか。

寅・こないだ、鍋にハンバーガーと羊羹とアイスクリーム、入れたった。

清・ははははは…… やっぱり子供やな。

寅・バカにしたらあかんで、そこにフグのキモ、入れたんや。

清・お前、そんな無茶しな。誰がそんなもん入れたんや。

寅・わいが入れたった。これがホンマの肝試しや言うてな、ははははは……

清・お前、子供のくせに闇鍋でしゃれかましてんのか。

寅・しゃれやない。それでキンちゃん、死にかけた。

清・あれ、お前やったんか!

寅・もうすんだことや。はよ始めよ、大人の闇鍋。

清・あのな、寅……

喜・清やん。もう鍋も沸いてるさかい、はよ、入れよ。明かり、消すで。

清・わー、いきなり消すな。真っ暗や。

喜・とにかく、持ってきたもん、皆、入れよ。……ちゃぽん、ちゃぽん……

寅・わいも入れよ。……ちゃぽん……

清・しゃあないな。ほなわしも入れるで。……ちゃぽん……

喜・なあ、清やん。

清・何や。

喜・ここに置いてた、わいの妖怪ウオッチ、知らんか?

清・え? 知らんで。

寅・おっちゃん。

喜・何や。

寅・それ、わいが今、鍋に入れた。

喜・何をしてくれるるんや! ちょっっと、清やん!

清・何や、用かい……(鍋の中に手を入れて)うおっち!

寅・おとう。

清・何や。

寅・それでこの噺のオチにしようなんて思うてへんやろな。

清・当たり前や。いくら闇鍋に落とした言うても、そんなオチではすくわれへん。

                                 デンデン