ショッピングモールのイートインで食事をする家族のすべてが、幸せとは限らないようです。
今日も例のごとく近所のショッピングモールのイートインでマクドナルドのアップルパイをミスタードーナツのコーヒーとともに一人で食しておりましたところ、二人の幼い男の子を伴った若い夫婦が近くの席につきました。
アタシがその家族に注意を向けましたのは、妻のマシンガンのような声が聞こえたからでございます。
どうやら、夫がトレーに乗せて持ってきた麺類が気に入らなかったようで、
「二歳の子供に食べさせられないのがわからへんの。それぐらい自分で考えて!」
という声に、
「世間一般の旦那にそんなことを期待するのは間違っているし、そこで文句を言うのなら、先に注意しておくか、でなければ自分で買いにいくべきだろう」
と、アタクシは心の中で反論してしまいましたが、妻の夫に対するその苦情がなかなか収まりません。
若い旦那は、じっと黙っていましたが、アタシには背中を向けて立っていましたから、どんな表情をしていたのかわかりません。
「よく、辛抱しているな……」
と思っているうちに、妻は、
「お義父さんとお義母がおいしいっていうコロッケも香辛料が入っているから食べさせたくない」
と展開し、
「最初は部屋が違っていてよかったと思っていたけど、お義父さんとお義母は……」
と発展し、
「昨日も話をしようと思っていたけど……」
きっと、お母さんは妻としても嫁としても大変なんだろうな、とも思い直しはしましたが、その間、彼女は食べ続けていました……
夫は、食べる素振りも見せず、ただ黙って聞いているだけです。
やがて、二歳の弟がイスからおりて五歳ぐらいのお兄ちゃんのところへ行き、しばらく二人でじゃれていました。
お母さんは、そんな子供たちの様子を目の端に捉えていたようですが、やがて弟が母親の手を引いてぐずりだしましたので、これで妻のマシンガン口撃もやっと終わるのか思いきや、ほとばしる感情を抑えられないのか、止まりません。
それでもぐずるその子を抱き上げてマシンガンが止まったその刹那を待っていたかのように、夫はすかさずトレーを片付け始めました。
確かに、休日のショッピングモールは喧噪に包まれてはいましたが、五歳のお兄ちゃんは両耳を塞いでいました……
他人のアタシがどうこう言う筋合いはありませんが、他人事ではないというところをオチに……
「キミの場合、オチにもシャレにもならないんじゃないか?」
とは、例の友人……