昔、〈純喫茶〉の看板を見かけて、〝純〟ではない喫茶店もあるのか、と疑問に思ったことがありました。
少し考えてみると、ジャズ喫茶、歌声喫茶、漫画喫茶、メイド喫茶、カラオケ喫茶などが思い浮かびます。
数十年前には、大阪にノーパン喫茶なんてのもあって、一時話題になりました。
かつての職場の上司は、チェスができる喫茶店を営んでいます。
全国でも珍しいチェス喫茶ですから、チェスの愛好家にはよく知られています。
癒しブームの近年は、猫やら梟やら兎やらと触れ合える、動物カフェなる喫茶店が人気を呼んでいるようです。
そういえば、かの《伝楽亭》も、実は落語カフェであって、素人落語を見る分には木戸銭はいただきませんが、ドリンクを注文するのが暗黙のルールになっています。(管理人の田舎家かかし師に確かめたわけではありませんが……)
こうして見てみると、喫茶店、カフェという商売には、他の何かと組み合わせることによる可能性が、いろいろあるように思います。
アルバイト店員が集まらなければ、それを逆手に取ったロボットカフェなんてのは当然出現するでしょう。
あるいは、日本全国の多種多様な缶詰専門の居酒屋があるようですから、缶詰喫茶なんてできると、締め切り間近の作家が集まってくるかも……
観光地では着物のレンタルサービスがありますから、着物カフェ……、いっそいろんなコスチュームが楽しめるコスプレカフェもありかと……
コスプレの中でも、忍者やお姫様に特化した時代劇喫茶や、仮面ライダーの怪人やウルトラマンの怪獣になれる怪人喫茶、怪獣喫茶なんてのもありかと……
「わらわは、あんみつじゃ」
「はは。これ、姫にあんみつを持て!」
「ご注文は?」
「オレ、死神博士」
「死神博士オレですね」
そうそう、純喫茶の他にジャズ喫茶があるなら、ギャグ喫茶があってもいいのではないか、てなことを、その昔、思いつきましたが、
「キミの場合、ギャグ喫茶というその発想自体、親父ギャグでしかないんだから、まあ、止めた方がいいだろう」
と、例の友人に言われて、そのときは、断念しました。