買うてや、八つ橋。

久しぶりに京都四条界隈を歩いておりましたら、新しいお店ができていました。

ショーケースには小さな宝石のような何かがほんの数点、並んでいるだけでしたので、最初は宝石店かと思いましたが、そのショーケースの向こうにいた二人の女性店員は季節柄、例のサンタクロースの帽子をかぶっていましたので、洋菓子を扱うお店なのかと思って近づいてショーケースの中をのぞきましたら、女性店員が、

八つ橋でございます」

と、声をかけてくれました。

 

京都ではどのお土産屋さんに行っても店頭に並んでいるほどの銘菓を、新たに独自の店舗を出して売っているわけです。

さりながら、いかに銘菓とは言え、お土産屋さんで売れている商品を単独で、しかも繁華街の一角で経費をかけて売っているわけですから、リスクは大きいはずです。

ひょっとすると、従来のお土産屋さんでは他の商品に埋もれてしまう可能性が否めず、特に外国人観光客の手に取ってもらい、京都から世界ブランドへの飛翔を目指して売り出すために、あえてこうした販売戦略を展開しているのではないかとも思いました。

 

「お一ついかがですか?」

さらに声をかけられて、一瞬、今、考えたことを確かめたくなりましたが、商品も買わずにそんなことを聞くわけにもいかず……

(結局、買わへんかったんか!)