タバコの希少価値

禁煙外来のコマーシャルを目にするたびに、

「これは、日本たばこ産業の営業妨害をしているのではないか」

と思いますが、寡聞にして訴訟の話は耳にしません。

タバコの自動販売機には、

「タバコを吸うとあなたの健康を害するかもしれませんよ〜」

てな、注意を喚起する文句がでかでかと記されています。

また、かつては御上の専売特許であったタバコですが、その御上が制定した健康増進法によって生息場所を制限されるまでになってしまいました。

でも、搾取される税金は増加の一途をたどっています。

御上の専売とされていたタバコは、その御上の経営の失敗によって民営化され、さらには、

「健康に害を及ぼすから吸いすぎないようにね〜」

と喫煙者への注意ばかりではなく、受動喫煙なる言葉まで登場して、

「他者の健康にまで害を及ぼすから堂々と吸うな」

「いっそ禁煙しろ」

と喫煙者が非難される存在にまでなってしまっています。

それならいっそ日本国内でのタバコの販売及び喫煙を完全に禁止してしまえばよさそうなものですが、そんなことはせずに税金だけ、御上はしっかり取っています。

「お前はダメな奴だが、稼いでこい」

という質の悪いヒモのようなやり口ではないかと密かに思っているのは私だけでしょうか……

 

ちなみに、生まれてこのかた、アタシは1本もタバコを吸ったことはありません。

大学に通うようになって、周囲の学生の多くがタバコを吸っているのを見て、

「タバコを吸うと、みんなと同じ人間になってしまう……」

と思い、以来、タバコを吸わないことにしました。

 

でも、世の中がこうなってくると、

「あなたはよくやっています。ほんとうにステキな女性ですよ」

と、応援したくなります。

 

ただし、ここにいたってタバコを吸うと、人生の途中で禁煙したのではなく、生涯タバコを口にしない男、という希少価値を、自ら放棄することになるのではないかと思います。

その一方で、この年になってから喫煙を始めた男、というほうが希少価値があるのではないかとも考えます。

 

迷った末の決断は、

「やっぱりタバコは高いよな……」

そのうち、オークションで販売されるほど、タバコは貴重なものになってしまうかもしれません。

(んなアホな……)