演劇で世に出ようと奮闘している若い人が、その生き方は間違っていると赤の他人のおっさんに否定されて落ち込んでいるという話を耳にして、
「世の中の常識なるものを持ち出して誰かを否定するしかないおっさんの下らない話なんぞ無視したらいい」
「そうそう、きっと普段は誰にも相手にされないおっさんだから、スルーしたらいい」
てなことで若い人たちと盛り上がっておりましたら、
「アルバイト先に、説教するおじさんが来るんですよ」
と、別の若い人から困ったような話が出て来ましたので、
「特に悪質なクレーマーでもなく、ストーカーにもならないようなら、その人はあなたに説教はするけれど、それでリピーターになっているわけだから、あなたは売り上げに貢献してるということですよ」
と応じて、
「なんなら、いつもありがとうございます。ところで、今日はこれはいかがですかと新しいメニューを薦め、次に来たときにはお店で一番高い商品を推薦し、そのうちにネックレスがほしいとか、かっこいい新車に乗りたいとか、マンションを買ってほしいとか言ってみると面白いと思いますよ」
と、どんどんエスカレートさせると、
「おっさん、調子に乗ってんじゃねえぞ!」
私も似たようなおっさんの一人であることをすっかり忘れておりました……