フィギュアスケート四大陸選手権で、宮原知子選手が優勝しました。
「おめでとうございます」
テレビを見て解説も聞いておりましたが、
「努力の人」
などという言葉は、アナウンサーの口からも解説者のコメントからも、まったく出てきませんでした。
代わりに、
「自己記録を更新するための工夫」
という主旨の言葉が聞かれました。
宮原選手が所属する関西大学高等部では、高校では珍しく卒業論文が課されており、彼女のそのテーマは『オリンピックに魔物はいるか』だったそうです。
多くのアスリートが、〈魔物〉を口にしながら、さあ、果たしてそれが何か、どう克服すればいいのか、ということを論理的に言語化する選手は稀ではないかと思います。
そう考えると、宮原選手が自己記録を更新し続けられるのは、考えて言語化する能力が彼女にあって、それが工夫する力となっているからだと言えます。
もちろん、努力を怠らないことが大切であることに変わりはありませんが、〈努力の人〉というお決まりのレッテルが貼られているうちは、まだ正当な評価がなされていないのではないか、ということも言えるのではないかと思います。
周囲の人に、
『独自の考え、工夫によって結果を出せる人』
と見られるような人だけが、頂点を極められる人なのではないかと、テレビを見ながら思いました。
「アタシも工夫している」
と言うと、
「キミの場合、努力が足りない」
と例の友人に言われるというオチのパターンを変えようという工夫もやっぱり足りません……