三題噺・新しくでけたなんでもありますメシ屋

ふと気がつくと、4月2日(土)午後2時から伝楽態で開催される三題噺の会まで、1か月を切りました。

それで昨日、亭主のかかし師の留守の間に伝楽亭に行って、密かに三題噺のお稽古をいたしました。

 

いただいたお題は、『あゆ』『カレーライス』『桜』でした。

 

清・おお、ここやここや。新しくでけたメシ屋。

喜・へえ、なんでもあります、て、書いたあるで。

清・まあ、入ってみよか。……へえ、結構、客、入ってるな。

喜・きっと、うまいんやろな。

主・いらっしゃい。何、しまひょ。

清・メニュー、あるか?

主・壁にも、書いてます。

喜・あ、ほんまや。表の看板にもあったけど、こっちにも書いてるで。なんでもあります。

主・へえ。店の売りでっさかい。

喜・ほな、その何でもあります、っちゅうのん、一つ、もらおか。

主・いや、メニューはその次からです。

喜・そうか、ほな、その次に書いたある、おしながき、っちゅうの、一つもらおか。

清・こら喜公。

喜・なんや、清やん。

清・お前、そんな落語みたいなことしてたらあかんやろ。ちゃんとしたもん頼もうやないか。(壁のメニューを見ながら)定食…… 焼き肉定食、ハンバーグ定食、鮎の塩焼き定食なんてのもあって、うどん、蕎麦にラーメンてな、麺類から、カレーライス、桜餅まであるんやな。

喜・ほな、わい、カレーライス頼むわ。

清・そうやな。カレーライス言うたらたいがいの店に置いてるけど、それだけカレーの味でその店の善し悪しがわかるもんや。わしもカレーライスや。

主・へい、おおきに。へい、おまち。

喜・(驚いて)早いな。まるで聞き間違えて作ってしもてたもん、これ幸いと出したみたいやな。

主・なんでわかりましたんや。

喜・やっぱり、そうか。なんて正直な店や。

清・あほ。感心してる場合やない。とにかく食べてみよ。(食べて)まず。

喜・ほんまやな。この、カレー、まずいわ。けど、清やん。

清・何や。

喜・それにしては、客がぎょうさんいてるで。

清・客はぎょうさんいてるけど、よう見てみ。

喜・あれ? みな、桜餅、食べてるで。

清・そうや。ここの客、みんなサクラや。

                                  デンデン