三題噺お客の心得

本日、《三題噺の会》が例の伝楽亭で開催されます。

いつもなら、もう少し練習してから臨むところですが、今回は大したお稽古をしていません。

まあ、たいがいの人は、どんなお題が出るかわからないから、練習のしようなどないとお考えのようですが、実はお稽古のポイントがあります。

 

すでにご披露したかと思いますが、最初に考えるのは、三つのお題に関わるオチです。

そのオチからストーリーを考えていくように思われているかと思いますが、考えるのは、ストーリーではなく、場面と登場人物です。

お題からどんなシーンがイメージできるか、同時にそこにはどんな人物が登場するのか、といった点が押さえられれば、おのずとストーリーも見えてきます。

あとは、オチなど、落としてはいけない台詞やなんか、細かいところを考えて噺を完成させていきます。

ちなみに、古典落語には、喜六、清八、甚平さんと、決まったキャラクターがいてはりまっさかいに、登場人物にはこの辺で都合がつきそうかどうかも考えます。

また、登場人物は、多くても3人までの方が無難です。

 

お稽古というのは、こうした手順で考えるお稽古です。

 

たとえば、国語の入試問題で、いくら過去問を解いてもそれと同じ文章は出ないから勉強してもしかたがない、と思っていらっしゃる方は少なくないと思いますが、実は、文章が変わっても文章の構成だとか、設問の型だとかは、それほど変わりません。

過去問を解くというのは、初見の文章でもそうした点を押さえるためのトレーニングなんですが、そういう視点で過去問に取り組んでいる受験生は、それほど多くいません。

 

三題噺も同じで、毎回お題が変わるからお稽古のやりようがないとぶっつけ本番で臨むのではなく、その創り方、手順を脳みそに刻み込むために行わなければなりません。

 

最後に、お客様方にとって、もっとも重要なことを申し上げます。

 

こんだけの能書き垂れてでけへんかっても、怒らんといてください。