四字熟語辞典に『鬼手仏心』がありません。

新明解四字熟語辞典(三省堂)を捲っておりますと、『鬼面仏心』に遭遇しました。

それなら、『鬼手仏心』もあるだろうと探してみましたが、ありません。

 

でも、国語辞典、大辞林三省堂)には、

「外科医は手術のとき、残酷なほど大胆にメスを入れるが、それは何としても患者を救いたいという温かい純粋な心からである」

と記されています。

 

つまり、外科医の他には使われない四字熟語で、それほど古い言葉ではないということが言えるのではないかと思います。

おそらく、どこかの医療関係者が『鬼面仏心』から転用したのだろうと思います。

だから、四字熟語辞典には掲載されていないのかもしれませんが、『蒟蒻問答』が載っているなら、掲載してもいいのではないかと個人的には思います。

 

また、他に使い道がないような言葉も四字熟語辞典の中にはたくさんあって、例えば、

「美女の顔と桃の花。以前、美女と出会った所に行っても、今はもうその人に会えない」

という意味の『人面桃花』なんてのは、使い用がありません。

もし、誰かがその『人面桃花』を使って、

「昨日、駅前でいい女を見かけて、今日も行ってみたんだけど『人面桃花』で……」

なんてことを言う男がいたら、きっとストーカーにしか見られないような気がします。

だとしたら、やっぱり好んで使う野郎はいないかもしれません。

 

むしろ、『鬼面仏心』の対義語で『人面獣心』や『外面女菩薩内面如夜叉』なんてのが使い出があるように思われますが、なるべく他人には使いたくはない言葉です。

 

アタシもまた『鬼面仏心』でありたいな、とは思いますが、

「キミの場合、『鬼面獣心』…… いや、『仮面邪心』かな」

とは、例の友人のコメントでした……