例の『新明解四字熟語辞典(三省堂)』を繙いておりますと、狼には、
『乱暴狼藉』『狼子獣心』『鷹視狼歩』
〈無法で荒々しい〉とか〈凶悪・凶暴〉とか〈貪欲〉などといった意味を表す言葉ばかりが目立ちます。
その他、『三匹の子ブタ』や『オオカミと七匹の子山羊』など、西洋の童話では、狼にずる賢こく残忍な敵役が割り振られたり、送り狼と呼ばれる女性の敵にされたりもしています。
でも、11年間、オオカミと暮らしたイギリスの哲学者、大学教授だった、マーク・ローランズ氏は、
「サルは自分が何をどれだけ持っているかで、自分を評価する。
オオカミはそうではない。
持つことなどどうでもいい。
オオカミとして存在することが重要なのだ」
と、おっしゃています。
このローランズ氏の言葉を紹介した上で、
「自分はオオカミでありたい」
と言っても、
「きゃー!」
と声を上げて女性が逃げてしまうのは、そんなオオカミの皮を被ったキツネかなにかのように、アタシの正体が見破られているせいかもしれません……