自分の原稿を出版社に売り込むときの基本姿勢は《ダメで元々》です。
おかげで、果敢に売り込んで敗れ去った原稿の屍がどれほどあることか……
もちろん、それなりの労力を費やして仕上げた原稿ですから、多少の自信はありますし、また興味を示してくれる出版社もありますので、結局どこにも採用されなければ、さすがにがっかりもします。
しますが、《ダメで元々》と思えばこそ、ない知恵を絞ってなんとかしようと試みることができるわけです。
冷酷なコメントを容赦なくくれる例の友人に、先日、ダメ出しをくらうだろうとわかっていながら、思い切って書き上げた原稿を読んでもらいました。
「《ダメで元々》のつもりでいるから、遠慮なく批評してほしい」
と言うと友人は、
「これは、キミが好きになった女性に告白するのと同じだね」
と言いますから、
「やっぱり《ダメ元》で売り込まないといけないってことか……」
と返したところ、
「いや、《ダメで元々》ではなく、《元々ダメ》だ」