迷惑な話を終了させる術

『たとえ知っていても、知らないフリをせよ』

とは、会話術の教えの一つです。

 

「〜知ってるか?」

と問われて

「え? それ、何ですか?」

と応じると、それについて相手は機嫌よく話し始めますから、会話は弾みます。

でも、自分の知識をひけらかしたい輩との会話を中断させたいときには、

「知ってる。何回も聞いた」

と言って、そこで話を終了させることができます。

 

仮に本当に知らなかったとして、

「こいつとは話したくない」

と思ったら、

「いや、知らんけど、知りたくない」

と会話の強制終了を図ることができます。

 

最近、耳にいたします、

「〜ですが、何か?」

というのも、こちらの弱みに触れられたくないときに使って、その話題を終了させる台詞です。

「君はゆとり世代だからな……」

てな感じで、ちょいと批判的な見解の滲むような話題だ出たときに、

「ええ、確かにゆとり世代ですが、何か?」

と、開き直った気分を見せながら、若干反発の姿勢を示す言葉です。

これを応用して、

「知りませんが、何か?」

と答えるのも、一つの方法かと思います。

 

落語の『阿弥陀池』には、

「こんな話、聞いたか?」

「いや、聞かん」

と、答えてもらいたい相手に、

「こんな話、聞いたか?」

「今、お前から聞いた」

と答えて、相手を一瞬、黙らせています。

 

こんな話を例の友人にいたしましたところ、

「問題は、好ましくない会話を中断させることではなく、相手に、『キミは迷惑な話をしているんだよ』ということを自覚させる点にあると思うんだけど、その点を、キミは理解しているのかな」

 

そう言えば、

「知ってる。何回も聞いた」

「知ってるけど聞きたくない」

「知らないけれど、何か?」

「今、お前から聞いた」

なんて台詞を一つも口にすることなく、彼はいつもアタシを黙らせています。