雑談力養成落語・逆転の『天狗裁き』

お亡くなりになった桂米朝師の十八番、『天狗裁き』をご存じの方は、少なくないかと思います。

面白い夢を見た男に、女房がそれを聞きたがり、隣家の友達が聞きたがり、大家が聞きたがり、奉行が聞きたがり、最後は天狗が聞きたがるという噺ですが、先日の『かかし美里二人会』で、田舎家かかし師がこれを改作して演じておられました。

 

面白い夢を見た男がそれを話したがりますが、女房も隣家の友達も大家も奉行も天狗も聞きたがらない、と本来の設定を逆転させていました。

 

一升瓶に半分残っているお酒を見て、

「半分しか残っていない」

と考えるか、

「半分も残っている」

と思うか、それによって悲観主義か楽観主義かを判断する、遊びのような性格診断があります。

 

悲観主義か楽観主義か、診断の真偽はともかく、正反対のその解釈の仕方に最初に気がついた人は、たいした方だと思います。

 

半分残っているお酒を見てどう思うか、という性格診断は、そのまま雑談のネタになりますが、それで、

「半分しか残っていないと思ったキミは悲観主義者だね」

てなことを言われたら、

「半分しか残ってないから、それを口実にすぐに新しい酒を買って呑めるぞ、と考えているんだけど、それでもオレは悲観主義者か」

 

なんぞのおりにこの答を返してやろうと目論んでいますが、残念ながら誰も訊いてくれません。

 

仕方がないので、

「一升瓶に残っているお酒を見てどう思う?」

と、自分から例の友人にふってみたところ、

「これがビールなら、すっかり気が抜けているな」

 

昨夜見たこんな夢の話、誰ぞ聞いてくれまへんやろか……