他所とは違う《大数の法則》

高校卒業と同時に数学とはすっぱりと縁を切ってしまって数学的な発想ができないアタクシではございますが、週に一度、大学で経済学を教えていらっしゃる先生とお話をする機会があります。

先日も、

「組織も大数の法則にあてはります」

とおっしゃっいましたので、臆面もなく、

大数の法則って、何ですか」

と、伺いましたところ、

「サイコロを何回も振ると、どの数字もだいたい六分の一の確率で出て来るようになるでしょ。サンプルをたくさん集めると、だいたい似たような傾向が見えてくる。それと同じで、企業も似たような組織が多いということですよ」

と、笑顔で教えて下さいましたので、

「なるほど、その会社の社員が、『うちの会社は他所の会社とは違います』てなことを、どの会社の人もおっしゃいますものね」

と、返しましたら、喜んでくださいました。

 

同業他社から転職された方が、新しい職場で、

「ここは他所と違いますな。前に勤めていたところでは、こういうやり方をしていましたよ」

と、頼んでもいないのにそこで何年も働くベテランの方に他所のやり方を提案してくださることがあります。

たぶん、また別のところに転職されても、同じことをお話しになるのではないかと思いますが、言われた方も、

「だから言ってるでしょ、うちは他所と違いますって……」

と、同じことを新しい人に返しているように思います。

 

なんて話を考えまして、

「アタシも数学的な発想が身に付いた……」

と、例の友人に話しましたところ、

「キミが数学的と称する発想は、他所と違う……」