本当は、称賛すべき事象を表現しながら、それが何か悪いことであるかのようなイメージを与える場合に使われる言葉があります。
たとえば、『巧妙』『老練』『老獪』『手練手管』『筋書き』などは、
「『巧妙』に仕掛けられた罠にはまった子羊たち……」
「詐欺師の『老獪』な手口にすっかり騙されたいたいけな少女たち……」
「『老練』なやり口に翻弄された世間知らずの若者たち……」
「『老獪』な詐欺師の『老練』な『手練手管』によって『巧妙』に仕組まれた『筋書き』通りにうまくコトが運ぶと思ったら大間違いだ〜!」
てな具合に使われますが、これらの言葉は、
「経験を積んで知恵を絞り工夫を重ねた結果体得できた巧みな技術」
を、本当は指し示しているはずです。
ですから、
「さすがに『匠の技』が光っています」
という代わりに、
「さすがに『老練』な『手練手管』が光っています」
と言ってもいいのではないかと思っていますが、
「いずれにしても君には縁遠い言葉だろ」
とは、いつも『賢しらな』例の友人の『皮肉』な言葉でした。
これを言い換えると、
「いずれにしても君には縁遠い言葉だろ」
とは、いつも『賢明な』例の友人の『独特』の言い回しでした……