では、『ポケモンGO』『(福原)愛ちゃん』『熱中症』の三題噺です。
医・次の方、どうぞ。
母・(子を連れて座る)先生、すいません。
医・どうされました。
母・この子なんですけど、すっかり『ポケモンGO』には夢中になってしもうて、何とかなりませんかね。
医・ああ、最近、よく来られます。『ポケモンGO』『熱中症』ですね。
医・ええ、熱中して生活習慣が乱れたり、事故に遭ったりする危険がありますので、注意が必要ですが、まあ、すぐによくなります。ただ、半年以上、続くようですと、依存症になってしまいますから、気をつけないといけません。
母・依存症になるんですか?
医・ええ。アルコール依存症とか、買い物依存症とか、パチンコ依存症とか、セックス依存症とか、ありますでしょう。
母・え、ええ。
医・一般に言われている『熱中症』は、水分を摂って涼しいところで体を冷やすようにすればたいていは回復しますよね。早期に適切な処置を施せば、すぐによくなりますけれど、アルコールや買い物、パチンコ、セックスなどの依存症になってしまうと、健康も生活も乱れてしまって、治療も大変なんですよね。
母・はあ……
医・あれは、みんな愛情が不足しているからなんですが、アルコールや買い物、パチンコをやっている間は、その愛情の不足を忘れていられるんですよね。
子・ねえ、ママ。
母・何?
子・ボクが学校から帰ると、ママ、いつもお酒の匂いがするよね。
母・これ、こんなところでそんなことを言うもんやありません。
子・そう言えば、使うてないブランドのバッッグなんか、デパートの袋に入ったまま、押し入れにたくさん入っているよね。
母・だから、そんなことを言うたらあかんでしょ。
子・ママがパチンンコ屋にいてるところも、見られてるやて。
母・え? 誰がそんなことを言うてんの?
子・けんちゃん。
母・けんちゃん?
子・うん。けんちゃんちのパパがよく行くパチンコ屋。
母・まあ。
子・ねえ、ママ。
母・な、なに……
子・ママは知らない男の人とホテルにも行ってるんよね。
母・だ、誰が、そんなことを言うてるの。
子・けんちゃん。
母・また、けんちゃん?
子・うん。けんちゃんちのママも知らない男の人とよく行くホテルで見かけたんだって。
医・ああ、(咳払い)まあ、とにかく、このままでも大丈夫だとは思いますが、もし、御心配なら、薬も出しておきましょう。
母・ど、どんな薬ですか。
医・ポケモンノーって言う新しい薬なんですけど、どこの薬局でも扱っていますよ。(パソコンを扱って処方箋を出す)
母・あ、ありがとうございます。(子供を連れて診察室を出る)
医・次の方、どうぞ。
親・(子供を連れて座る)先生。
医・どうされました?
親・うちの子、卓球の『福原愛ちゃん』に夢中で、夜も寝ないでオリンピックも見てるんです。
医・まあ、アイドルに夢中になるのとおんなじですね。
親・アイドルですか。
医・歌も歌うでしょ。あい、うおんちゅう〜。あい、にいじゅう〜。
親・先生、こぶしが回ってますよ。
医・そうでっか、まだ、練習が足りませんな。けど、まあ、おたくのお子さんの場合は、大丈夫ですよ。
親・なんでですか?
医・『福原愛ちゃん』には、最初から愛がありますから。
デンデン