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月と小石

「 I love you. 」の訳を生徒に問われて、「月が奇麗ですね」と答えた夏目漱石先生の逸話は、NHKの朝のドラマ『とと姉ちゃん』にも出てきました。

 

奈良の十津川や和歌山の熊野には、デートの約束をして男が来ないときに女性はそこに松葉と小石を残していく風習があったそうです。

松に小石で、「待つに恋しい」という意味で、かの南方熊楠先生は、『南方随筆』の中で、これをやまと言葉と記されているそうです。

 

喧嘩して家から追い出したお婆さんが恋しくなっていばらに小石を包んだ手紙を送ったお爺さんに、小糠をそれに加えて、「恋しくば来ぬか」とお婆さんが返したという昔話があります。

 

旅に出た亭主の元に、松葉と小石を送った女房に、亭主が、半鐘のない火の見やぐらを鐘木を持って見上げる男を描いた絵を送ったところ、

「鐘(金)が無くて上れない(上阪、大阪へ上れない)」

と、女房が読み解いた、という落語もあります。

 

そんな話をして女性に小石を差し出そうとしたところ、

「今夜は月のない夜よ……」