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ラップと和歌と我々の世界

若い人の間でラップが流行っているようで、そのラップの第一人者、R指定さんによりますと、ラップは、日本の風土に適っているそうです。

たとえば、ラップの対決では、即興で相手に返し、また、韻を踏むという技術が求められるようです。

万葉の和歌の時代から、即興で歌を作り、そこに韻を踏むという技術も、日本の文芸の伝統として受け継がれています。

 

ただ、聞き慣れない人間には何をしゃべっているのか理解できないところがラップの難点ですが、普段、馴染みのない古い時代の落語でも親しんでくると面白くなってくるのと同じことかと思います。

 

「どうしたらそんなに面白いことが言えるようになるんですか?」

と尋ねられることがありますが、そんなときには、その人の得意とすることについて逆に聞き返すようにしています。

「どうしたらそんなに即興でラップができるようになるんですか?」

そうすると、相手は修練すればできるようになるということを理解してくれます。

要は、どれだけ時間をかけてそれを修得するかということですが、相手によっては、

「なんなら、我々の世界に足を踏み入れてみますか?」

と重ねて問います。

「え? 我々の世界…… ですか?」

「ええ。嫌なことは忘れて、いつでも面白おかしいことだけを考えていれる、いわば理想の世界ですよ」

てなことを耳元で囁きますと、どなたに限らず、笑顔を貼付けたような表情のまま、後ずさりしながらアタシから離れていくのは、なぜでしょう……