普段から、落語に触れております我々は、人も笑わせますが、自らも笑う機会に恵まれています。
でも、そうでない方は、日常生活で笑う機会はそれほどないようです。
8月、奈良の《ほろ酔い寄席》を5年ぶりに御覧になった女性は、久しぶりに笑いましたと、笑っておっしゃいました。
先日、別の女性が、
「笑いたいんですけど、最近、笑うことがなかなかなくて……」
とおっしゃっいましたので、
「その気になれば、すぐにでも笑えますよ」
「どうすればいいんですか?」
「たとえば、こうして歩きながらでも、はは…… はは…… ははははは…… てな具合に笑えばいいんですよ」
「それって、周囲からヘンな人のように思われますよね」
と言いながら、笑っておられました。
心配事があって寝られない、という女性には、
『「隣の家に囲いができたそうや」「へえ」』
と、
『「隣の家に塀ができたそうや」「かっこいい」』
と、我々の世界で口にするとたちまち袋だたきにあうような小噺を二つ並べて、
「面白くなかったら、面白くないぞ、と言ってください」
と申し上げたましたところ、即座に、
「面白くない」
と言われましたが、その夜はよく眠れたそうです。
もちろん、落語とはあまり縁のない素人さんに向けてこそアタシのネタは受けるわけでありまして、たとえば、一昨日のなでしこの会の皆さんの前では、もっとレベルの高い笑いが要求されますので、アタクシはただにっこり微笑んだまま買い出しの荷物持ちに徹しているという次第でして……
ここで笑ってくださいよ〜
今日は他に笑うところ、おまへんで〜