バイキンマンのイデオロギー

今日、社会の先生とお話をしておりましたところ、

「一つのイデオロギーを持っている人と宗教を信じている人は、自分が正しいと思っていて、人の意見を聞かないところが共通しています」

ということをおっしゃいました。

それで、

「落語の【菊江仏壇】でも、嫁をもらってもひと月ほどでまた外で酒を飲んで回る極道な息子を叱責した親に、その極道息子は「蛙の子は蛙」と応じて、大きな仏壇を買っても結局外へ座や講やと言うては外へ出ていくという、移り気なところ、飽き性なところが、オレも親父もおんなじや、と言うてました」

と申し上げましたところ、

「そういえば、先日、アンパンマンのお話をされていましたが、かなりお詳しいんですよね」

と、すぐ傍でこれをお聞きになっていた国語の女性の先生から声をかけられましたので、深く考えることなく、

「ええ、まあ、確かに……」

と答えましたら、

「うちの小学生の子供も、アンパンマンが大好きでかなり詳しいんですけど、うちの子供とおんなじですね」

「いや…… ええと…… そ、それは、違います。決して同じではありません。アタシクは、アンパンマンの正義ではなく、バイキンマンの悪の科学思想に傾倒しているだけですから……」

すると、先ほどの社会の先生が、

イデオロギーを堅持しているか、宗教を信奉しているか、というのと、やっぱり同じかと思いますが……」