いわゆる昭和歌謡の中には、女性の、
「あなたの夢の実現を、待っていれれないから……」
という趣旨の歌詞が、ちょいちょい見受けられます。
たいがいは、女性が後ろめたさを滲ませるような歌になっているように思いますが、自分の夢を語る男が、どれだけ本気で取り組んでいるかという問題は、そうした歌の中には表されていません。
夢を語る男は、一部の女性にとってはキラキラと輝いて、非常に魅力的に見えるようです。
だから女性はそんな男のために尽くそうとするのではないかと思いますが、年齢など、いつまでも待っていられないという状況になって、そんな男を捨てる決断を自らに下すのは、現代でも珍しくはないのではないかと思います。
「ああ、ごめんなさい。あなたの夢を最後まで支えられない私を許してください……」
てな自己陶酔に、そうした女性は陥るのではないかと思いますが、実は、夢を語る男の中には、語るだけで彼女が甲斐甲斐しく世話を焼いてくれて、何より自分が心地よいという心境になってはいるけれど、何だかそれだけで充足してしていて、それほど本気で夢の実現に取り組んではいないという輩も混じっているように思います。
そんな奴らの視点から作った歌も、世の中には一つぐらいあってもよさそうには思いますが、そんなことを例の友人に話しましたところ、
「もちろん、キミの他にそんな歌詞を書ける人間はいないよね」
と言われましたが、アタシがどれだけ夢を語っても、
「じゃ、がんばってくださいね!」
と、皆さん、笑顔で去ってゆかれるだけですから……
デンデン
(こら! 例の友人が出てきて、デンデンか〜!)