『人と屏風は直には立たぬ』
という言葉は、
〈折り曲げないとまっすぐ立たない屏風のように、人間も他人と折り合いをつけないと世の中を渡っていけない〉
という意味で、真っ正直にまっすぐ生きてはいけない…… といことを表している言葉だそうです。
『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ』
とありますから、意地も互いに少しずつ折り曲げないといけないようです。
「世の中、『人と屏風は直には立たぬ』『意地を通せば窮屈だ』『長いものには巻かれろ』てなことを言うやろ。そやから、いつまでもつまらん意地なんか張らんと、お前も少しは折れてみい」
「何を言うんや。お前も、意地を張ってオレに折れろとしつこく迫るんやのうて、少しは折れて、折れろと言うのはやめろ」
「そやから、オレは折れてお前が少し折れろと言うてるんや」
「それが、お前が折れてない証拠や」
世間には、
「何事にも折れない心を持ちたい」
と、思っていらっしゃる方は、少なくないと思いますが、折れない心をお持ちの方は、案外、たくさんいらっしゃるのではないかと、感じています。
もちろん、アタシはすぐに折れるようになっております、と例の友人に申しますと、
「キミの場合は、心は折れてない。ただ、歪んでるだけや」