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『私の愛した小説』

遠藤周作先生の『私の愛した小説』(新潮社)は、宗教と心理学から文学、小説の創作を考察する著作です。

それには、人間の《無意識》がどのようなものか語られており、長く読み継がれる小説は、この《無意識》の産物として、人々の共感を得る、という主旨ではないかと、解釈いたしました。

 

御存知のかたも多いかとは思いますが、就寝中に見る夢というのは、この《無意識》の働きの一つでありますが、『私の愛した小説』では、さらに《無意識》は、その根底において人間が相互に共有しているものではないか、といった意味の叙述もなされています。

 

それで思い出しましたのが、横山光輝先生の『バビル2世』の導入部で、夢に呼ばれるシーンと、『スタートッレック』に登場する、ボーグという戦闘集団でした。

ボーグは、完全に相互に意識を共有し、一人が倒されたら、その情報はたちまち他のボーグにも伝わり、すぐにそれぞれが同じ対応策を講じるという生命体です。

 

(高尚な著作に触れながら、結局そんな程度しか思い浮かばないのか!)

 

と、ツッコミを入れられるまでもなく、我ながらそんな自省をしてしまった、今日この頃でございますが、問題は、この本を紹介してくださった方に読んだことを報告するときです。

 

「どうでした?」

「人間は、みんな同じ夢を見ているはずではないかと……」

「なるほど。では、昨夜、どんな夢を御覧になりましたか?」

「ええと、凍った地面に小判が貼りついていて、その氷を小便で溶かして小判を取ろうとしたんですが、氷が溶けて小判を手にしたところで夢が覚めて、小判が夢で小便はほんまやったという……」

 

アタシだけ、誰とも《無意識》が共有されていないのではないかと……

 

遠藤周作先生、ごめんなさい。